2009秋
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萩原雅紀さんがDPZの記事で書かれて以来、行かなきゃ行かなきゃと思っていた「身近にあるすごい建築NO1」の千葉そごう駐車場に、ようやく取材に行ってきた。すでにDPZの方では動画も撮られているので、そちらも参考にして頂きたいのだが、とにかく一言で言って、すごすぎる。DPZと同じことしても仕方ないので、簡単な構造のスケッチを描いてみた。簡単にいえば、駐車場への出入りの道がDNAも真っ青の2重らせん構造になっており、つまり1らせん毎に上り下りが交替しているわけだが、ここではその2重らせんが外側と内側でまた2重の4重らせんになっており、さらにはそれが別棟でもう1組あるという驚愕のしくみなのだ。つまりは8重らせん。
公道から駐車場に入ると、まず左写真のように係員に駐車場の混雑具合に応じて、外側を通るか内側に行くかを指示される。(図中E視点、紫と緑の分岐)
駐車場棟の4Fまでは店舗になっているので、5Fの高さに上がるためだけにこの棟は存在する。左写真はブリッジ部(2段、上層が下り、下層が上り用)。ブリッジを渡り、駐車場棟へ入るとようやくゲートがあり、駐車券の受け渡しとなる。最初の分岐で外側になったか内側になったかは、ここからもそのまま引き継がれ、内外に分かれて駐車場を上る。最初の分岐で内側に行った場合は駐車場は自動的に11~RFの割り当て、外側に行った場合は5~10Fの割り当てとなる。
低層部の駐車場から、らせんを見た写真を5枚(図中の視点A)。写真以上の言葉は不要だと思えるほどの迫力。
屋上より駐車場とらせんの隙間を見下ろす(視点B)。12階分の圧倒的落差。
感動的なのは、10Fで外側のらせん(低層用)が終わってしまうので、今度は今まで内側にあったらせんが外側に移るところ。左の写真(視点C、D)では上りの黒い車が外側に移る寸前、下りの銀色の車が内側に戻る寸前である。スリットの入ったピンクの壁は内外のらせんを隔てる壁であるが、内外のらせん自体が力学的にここから生えている構造のようだ。スリットより数の多いドットは外側らせんの梁が見えているようだ。内側らせんが外側に移ることで、明るく広い吹き抜けを完成させている。らせんの真ん中にあるボッチのついた屋根は5F部分で、この下は店舗なのだが、行ってみると1~4Fまで吹き抜けのエスカレーターホールになっている。つまりこの建物自体がそもそもバームクーヘンのような形なのだ。
駐車場用のエレベーターも、5~10Fと11階以上で分かれている。高層用の方にあった制御ランプが未来的だが、それよりも10Fもの高さにある駐車場を「低層」と言い切ってしまう大胆さがすごい。
外観。手前が5Fまで上り下りするための「外らせん棟」、後ろの高いのが駐車場のある「内らせん棟」。その奥にそごうデパート本体が少し見えているが、明らかに駐車場の方がデカイ。すでにデパートはオマケに等しいと思う。なお、外らせん棟の6階レベル以上の網みたいのがかかったところが謎の部分。
駐車場の屋上から見ると、大きなファンが円形に何台も!なんという換気量だろう。分岐のところから見てみると、内側らせんの芯の部分にぶっといパイプが!おそらくそごうや隣接する千葉駅前商業施設の熱交換を一手に行っているのだろう。
まとめ
とにかく、なんか、言葉に出来ない、信じられないくらい、すごかった。誰がこんなの造ったのだろう???出来たのは1993年頃とある。バブル終わりし頃である。確かにこの頃にはらせんが流行って、横浜ランドマークタワーにらせんエスカレーターがあるくらいだ。今の時代にこんな金のかかった駐車場は出来ないし、今後世界でもたぶん造られないのではないか。そういう意味も含めて、本気で世界遺産の登録を申請してみたほうがいいと思う。それと、千葉そごうに用事がなくても、たった500円/時間で駐車できるので、このらせんを観光するだけでも、行ったほうがよいと、僕は思う。
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